キーワードは「音が美味しい」

最近よく、グルメレポーターが「このパリパリ感!ほら、聞こえますか?」などと、音を強調しながら食べてみせるシーンを目にします。SNSでは、調理や食事の時に出る音を収音マイクで拾ったコンテンツが人気なのだそうです。「音を立てて物を食べるなんて、お行儀悪いですよ!」というお小言は、もう通用しないのでしょうか?

不思議な心地よさ!
咀嚼音動画にドハマり

外食先で料理が出てきたら、まずパチリ!SNSに投稿する人もしない人も「インスタ映え」をやたらと気にする時代ですが、「フォトジェニック」の次は「音ジェニック」。食は五感で楽しむもの、食べる時の音も大事!というわけです。YouTubeなどの動画サイトではASMR(エーエスエムアール)というジャンルが人気で、聞くとゾクゾクしたり心地良くなったりする音が収録されています。自然音、生活音、寝息やささやき声など、いろいろな投稿がある中で、人気が高いのが咀嚼音。たとえば、プチプチの海ぶどう、アロエの葉をサクッと切り皮を剥いて食べる音、氷や飴玉をガリガリ齧る音が「気持ちいい!」のだそうです。
音を立ててものを食べる人を「クチャラー」と呼んで毛嫌いする人も多いのに、他人の咀嚼音をエンエンと聞かされる動画がなぜ人気なのか?一節によると、ヘッドホンから流れてくる音を自分自身の咀嚼音として聞いているからだそう。天ぷらにたとえるなら、衣のサクッとした音が引き金になって自分が天ぷらを食べた時の歯触りと美味しかった記憶が蘇ってくるから心地いいのだといいます。自分が体験しているかのようなリアルな映像と音を高性能のヘッドホンで視聴する、目と耳で楽しめるASMR動画にドハマりする人も多いそうです。

知らぬ間にヒット!
恐るべし「食べてみた動画」の威力

「地球グミ」をご存じでしょうか。地球を模した真っ青なドイツ生まれのグミで、韓国のユーチューバーの動画をきっかけに大流行しました。弾力のあるグミを食べる独特の音がウケて多くの人が同様の動画を投稿し、拡散されていったのだそう。人気は日本にも飛び火して手に入れられない「地球グミ難民」が続出、高額転売もされていたとか。知らなかった…。まさか遠いアジアを起点に自社のグミのブームが始まったとは、ドイツのメーカーもびっくりですね。
同じ様な現象が、若い世代とは縁の薄そうな地方の伝統菓子にもありました。仙台市の老舗菓子店が冬季限定で販売する「霜ばしら」は、噛んだ時のパリッとした音と口どけの良さが特徴の飴菓子ですが、こちらも2021年頃から軽やかな咀嚼音を際立たせた「霜ばしらを食べてみた動画」がアップされるようになり、全国から注文が殺到。販売期間中は店舗前に行列ができ、ネットでも入手困難な状態が続いているといいます。 自分たちのあずかり知らないところで、想定外の形で商品が話題になり爆売れする。恐るべし、咀嚼音動画の力です。

“音”でわかる!
あっ、コレ、きっと好きなヤツ

音の世界に浸りたい
リラックスしたい時こんなASMR動画はいかが?

モッパン+咀嚼音で
五感で楽しむ食事動画に

ズルズル、ズズズッ~
麺をすするには訳がある?

トロ~リ、そしてパリパリ
食べてみたい!ドバイ発祥のチョコ