キーワードは「生〇〇」
生チョコ、生ハム、生カルビ、生パスタ…“生”がつくと俄然おいしそうに感じるのはなぜでしょうか?生ドーナツや生カヌレ、生しぼりモンブランなんてものも登場し、生○○がどんどん増えていきそうな勢いです。でもね、揚げてあるのに生ドーナツって、どうなのよ?
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生食感って?
「しっとり、とろけそう」ってことかな…
一時期は、行列に並ばないと買えないほどだった高級生食パン。生チョコや生キャラメルを思わせる口どけの良さを表現したくて、頭に「生」をつけたのだそうです。生クリームをふんだんに使った生地のリッチな味わい、しっとりとろけるような食感をトーストせずに生で味わってほしいという意味もあったとか。
昨年はファミマの「生コッペパン」も人気でした。コッペパンと言えば学校給食を連想する方も多いのではないでしょうか。当時はパサパサで味気なく、口に残った生地を牛乳で流し込んでいたコッペパン。「あのコッペパンが“しっとりとした生食感”ってどういうこと!?」と、味を確かめたくて手にした人も多かったそう。この生コッペパンにも生地に生クリームが入っており、たまご、ダブルカスタード、ハムカツ&ポテトなど種類も豊富でリピート買いが多かったそうです。
高級生食パンのブームは終焉を迎えたようですが、「なめらか」とか「とろける」、「もちもち」などの食感を「生」という言葉で表した商品はその後も登場。パン、スイーツの世界では「生」を謳うための基準、定義はないとのことですが、「生○○」の鍵は生クリームにあるようです。
焼いても、揚げても生!
なんて便利な言葉でしょう
最近、話題の生ドーナツは、普通のドーナツのような穴がないコロンと丸い形です。ブリオッシュ生地を高温・短時間で揚げてあり、食感はふわふわでとろけるよう。生地に生クリームが練りこまれているだけでなく、中に生クリームやフルーツが詰められているものもあって、「揚げてあっても生」に何となく納得です。この生ドーナツの生みの親は福岡県の人気ベーカリーとのこと。2022年に東京で生ドーナツ専門店「I’m donut?」をオープンさせるとSNSから瞬く間に人気が広まり、いまやいろいろな生スイーツが登場しています。どっしりした焼き菓子のパウンドケーキも生、カヌレにシフォンケーキも生!クッキーやドライフルーツまで…。
本来は加熱処理をしていないものを「生」といいます。そして日本人は、火を通さなくてもよいほど新鮮な食材がいかに美味しくて贅沢なものかを経験的に知っています。いつも食べているアレが「生」だったらもっとうまいに違いないと想像してしまうのは、日本人だからかもしれませんね。「生」ってなんと便利な言葉でしょう。